ダブリンにある聖パトリック大聖堂(St Patrick’s Cathedral、The National Cathedral and Collegiate Church of Saint Patrick, Dublin)は1191年に創立された、アイルランド島で最も大きい教会。ダブリンには珍しく聖パトリック大聖堂、クライストチャーチ大聖堂と二つの大聖堂がありますが、聖パトリック大聖堂の方が大きくなります。
聖パトリック大聖堂の歴史
アイルランドのキリスト教を広めたと言われる聖パトリック。450年頃、この聖パトリックがこの近くにあった聖なる泉で人々へ改宗の洗礼を行ったと言われています。もともとは木造の礼拝堂がありましたが、12世紀になって現在のような石造りの大聖堂が建てられました。ヨーロッパの中でも最も古い大聖堂の一つ。教会から大聖堂に格上げされたのは、創立からおよそ20年の間であると言われます。
捧げる対象を「神、聖なるマリア様、聖パトリック」としているこの聖パトリック大聖堂は、1192年に大主教ジョン・カミンによって「カレッジ・スクール」に格上げされます。それにより教会は学問にも勤しむことになりました。
アイルランド最古の大学であるMedieval University of Dublinは14世紀〜16世紀に存在していましたが、この聖パトリック大聖堂がキャンパスとして使用されています。
イングランド宗教改革の時代にはトマス・クロムウェル率いる兵士たちに像を傷つけられ、その後は抑圧により大聖堂から教会へ格下げ。(1555年に再度大聖堂になっています。)オリバー・クロムウェルのアイルランド侵攻時は馬小屋として使用されたこともありました。
1871年にアイルランド国教が廃止され国教会が国教でなくなった際、クライストチャーチはダブリン主教区の大聖堂、そして聖パトリック大聖堂は国立大聖堂されています。
この聖パトリック大聖堂は、川に近いことから浸水問題にさらされることが多く、経済的問題もありあわや崩壊か、という時期もあったと言われています。ですが1860年代、ベンジャミン・ギネスをはじめとしたあのギネス一族の出資により大規模な修復が行われ現在も存続できているということです。